デジタル技術でどんな図書館を目指すのか?その担保は?
枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
12月8日(金)、枚方市議会は、令和5年12月定例月議会の第1日。本会議補正予算審議での私の質疑をまとめました。
その内容の要旨をお伝えします。
【令和5年度枚方市一般会計補正予算】図書館ICタグシステム導入事業:債務負担行為《令和5年度〜令和8年度》限度額:約2.4億円
図書館の全図書にICタグを取り付け、図書館業務の効率化を図るための経費
デジタル技術を活用し、「生活を豊かにする図書館」に!
図書館にICタグシステムを導入することで、どのような利便性の向上があるのか?
この予算では、図書館にICタグシステムを導入することにより、従来貸出窓口での貸出作業に要していた時間を、職員による専門的なサービスの充実に充てるとの説明があった。
それでは、ICタグシステムを導入することで、どのような利便性の向上が図られ、また、充実させようとしている専門的なサービスの中身とはどのようなものなのか、さらに、ICタグシステムの府内の導入状況について伺う。
貸出手続きに要する時間が短縮される
ICタグシステムの導入による利便性の向上については、貸出手続きに要する時間が短縮されることから、繁忙時などに貸出窓口に貸出待ちの利用者の列ができる状況を解消または緩和することが可能となることが大きなメリットとなる。
図書館の魅力の第1は、魅力的で充実した蔵書
次に、専門的なサービスの中身につきましては、図書館の魅力の第1は、魅力的で充実した蔵書であると考えているので、まずは蔵書の中身や利用者ニーズの分析を行い、それを踏まえて図書の購入や書庫入れ等の検討を行い、より魅力的な蔵書を構築していきたいと考えている。例えば「3歳の子どもに読ませるおすすめの本は何か」といった、利用者からの読書に関する問合せに答える読書相談や、利用者が抱えておられる課題を解決するための調べもののお手伝いを行うレファレンス、おはなし会をはじめとする各種行事の充実と読書ボランティアのさらなる育成、遅れている郷土・行政資料の電子化など、市民の生活を豊かにする、さまざまな専門的なサービスを充実してまいりたい。
既に府内15市で導入済み
なお、ICタグシステムの導入状況は、すでに府内15市で導入されており、近隣では、寝屋川市、守口市、門真市、大東市で導入済み。
指定管理者が運営する分館も、その方針が反映されるのか?
近隣他市も導入しているということなので、蔵書規模が大きくなること以外に、技術的な問題は少ないだろうと推測します。今回、ICタグというテクノロジーを導入することによって、あるべき図書館にしていきたいという意気込みが感じられた。司書の皆さんのモチベーションも上がる好循環を期待しているし、私もぜひその図書館を実現してほしいと思う。
しかしながら、直営の中央図書館や分室については、市や教育委員会の方針を踏まえ、専門的なサービスの充実を図られていくだろうと期待するが、指定管理者が運営する分館については、ICタグシステム導入前に、すでに複数年契約を結んでおり、必ずしもこの度の市や教育委員会の方針が、直接反映されないことも考えられる。
ついては、ICタグシステム導入後、市や教育委員会が進めようとしている方針について、指定管理館の運営にも反映されるよう、どのように担保していく予定なのか?
市・教育委員会の方針を伝え、協力を求める
本市が費用を投じて導入するICタグシステムにより、貸出等の手順が変更となりますが、基本的に指定管理者のスタッフに対して新たな負荷がかかるものではなく、逆にスタッフの負担が軽減されることとなる。
その負担の軽減により生み出された時間について、どのように使用するかについては、当然中央図書館と指定管理館との協議の対象となるので、毎月開催している分館長会議や、図書館運営に対する定期モニタリング等において、市・教育委員会の方針を伝え、協力を求めることで、この度のICタグシステム導入に伴う市や教育委員会が進めようとしている方針については、指定管理館においても徹底されるものと考えている。
このことで、直営館、指定管理館を問わず、例えばおはなし会等の行事の増加をはじめ、市民が図書に触れる機会の増加に寄与できるものと考えている。
あるべき図書館への変革に向け、「協力を求める」という答弁では心許ない。
市・教育委員会の方針を伝え、協力を求めるという答弁ではちょっと心もとない。引き続き注視していきたいと思います。
来年度にオープンする市駅前図書館についても、指定管理者が運営されます。蔵書の規模は大きくありませんが、市駅前という一等地にできるということもあり、楽しみにしているという声を聞いていますし、オープン時は市内外から注目を集めるのではないでしょうか。
市民が教養を高め、知識を深め、文化を享受し、生活を豊かにする本物の図書館に!
ICタグシステムや予約図書受取ロッカーをはじめとした、これまで本市では未体験の新たなデジタルサービスと、司書の皆さんの選定した蔵書や書架づくり、イベントでのテーマに添った関連蔵書の展示などの専門ノウハウを活かしたアナログサービスの融合によって、市民が教養を高め、知識を深め、文化を享受し、生活を豊かにする本物の図書館として、市民の期待に応えていただきたいと要望しました。
来年夏頃開業の枚方市駅前ビルには、市駅前図書館が予定されています。ICタグの導入や予約図書受取ロッカーも計画されています。
今回も、デジタル技術は、何のために?目的の手段化がないよう常に意識しています。一人ひとりの市民を笑顔に!図書館は市民の生活を豊かにする。市民が教養を高め、知識を深め、文化を享受する。そうなろうとしているのか、今後も確認して、必要に応じて軌道修正させていきたい。