枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
5月2日は、枚方市 孤独・孤立対策推進本部研修会に出席。特定非営利活動法人 あなたのいばしょ 理事長 大空幸星氏(めざまし8、Mr.サンデーに出演中)を講師に「望まない孤独に対して自治体ができること」と題して、「24時間365日、誰でも無料・匿名あなたのいばしょチャット相談」を立ち上げた子どもたちの孤独の背景や孤独と孤立の違いやこのチャット相談と自治体との連携についての考え方など講義を頂きました。
今回の講義の内容を備忘録として、また私の理解と考えをまとめることも含めて大きく追記しています。
WHO「社会的つながりに関する委員会」共同議長ヴィヴェック・マーシー氏が2023年5月に公開した「Our Epidemic of Loneliness and Isolation」と題したレポートによれば、孤独の健康への悪影響は、1日15本の喫煙にも相当する。
WHOでも、差し迫った健康上の脅威として孤独に対処し、優先事項として社会的つながりを促進し、あらゆる所得の国での解決策の拡大を加速するため、新たな社会的つながりに関する委員会を設置。日本からは加藤鮎子孤独・孤立対策担当大臣が委員として名を連ねている。
学校に行っていても、孤独を感じている。仕事に行っていても、孤独を感じている人はいる。
- 孤独感を年齢階級別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、20歳代から50歳代で高い
- 16〜19歳の調査数があまりにも少ない!!(高齢者に偏った調査になっているのは、なぜか政治の影響??)
- 性・年齢(5歳階級)別に主な死因の構成割合をみると、自殺は、男10~44 歳、女10~34 歳で自殺が多くなっている。
- コロナ以降の上昇と男性が微増
- 令和5年、10〜30歳代、50、60歳代で微増
- 自殺死亡率において、10歳代、40歳代で上昇傾向が見られる
- 小中高校生では、コロナ禍での上昇、特に女性の上昇傾向が読み取れる
令和5年中における自殺の状況|厚生労働省より
悩みや問題を抱えた時に確実に信頼できる人にアクセスできる仕組みを構築することにより望まない孤独のない社会を実現する
- 平成29年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書によると、10代の平均的なSNS利用時間が54分であるのに対し、電話の利用時間は0分だった。
- 日常生活で電話を使う頻度の少ない世代が、電話相談をできるはずがない
- LINE相談が設置されていても、みんなが使える状態にない
- 相談者は相談の開始・中断などの制御可能性が高く、姿を見せる必要もなく、声も発しないために匿名性が高い
- 相談員を国内外で確保できる(十分な研修は必要)
⇒ 時差を利用して24時間対応が可能に - 自殺行為やDV、虐待などの緊急性が高い事案にアラートが出せる
⇒ 専門性が高い相談員が対応できる - 相談内容は全てデータ化し、頻繁に使用される単語、相談時間、相談者の性別、相談時間等を個人情報が特定できないように加工した上で、オープンデータとできる
- 自治体ごとに24時間対応の相談窓口を持つことは非効率だと考える
- チャット相談から自治体の直接的な支援につなげてほしい
- あなたのいばしょで 24 時間 365 日相談を受け付けることが可能に(いこまる相談窓口閉所時間の相談にも対応可能に)
- あなたのいばしょから本市に相談内容を情報提供することで、相談者のアフターフォローが可能に(双方に連携担当者を置くことで、支援が必要な方の情報共有をスムーズに行う)
24時間365日、誰でも無料・匿名で利用できるチャット相談窓口を運営する「特定非営利活動法人あなたのいばしょ」と、4月26日に事業連携協定を締結しました。いこまる相談窓口の閉所時間にも対応が可能となり、双方に専任職員を置くことで支援体制を強化します。
— 生駒市 福祉情報 (@Ikoma_fukushi) April 26, 2024
HPはこちら→https://t.co/1fjOVbsNy0 pic.twitter.com/OlFHM3cHo2
【 奈良県生駒市と孤独対策で連携します】
— NPO法人あなたのいばしょ (@ibashochat) April 27, 2024
2024年4月26日、あなたのいばしょは、奈良県生駒市と「チャット相談による地域連携の取り組み」として協定書を締結しました。この事業連携は、孤独や自殺の相談をより迅速、かつ円滑に地域につなげることを目指すものです。… pic.twitter.com/l5BBdYcI0v
- 子ども・若者民生委員は18歳以上30歳未満を想定
- 活動にあたってはICT端末を活用し、支援や相談・情報提供にあたってはチャット相談の仕組みを活用
- 現代的な子ども・若者サポート体制の構築が求められるのではないか
テーマは孤独・孤立。3月の代表質問で市長にどのような考えで進めていくの聞いたものの、あまり前向きな回答はなかったように認識していました。今回はその道での有識者であり、孤独というものの社会課題に昇華させた本人。あふれる思いがバシバシ伝わってくる講演でした。
代表質問では、相談にたどり着かない子どもから保護者も含めてスクリーニングできる方法が確立されつつあることをお伝えしましたが、今回はチャット相談。チャット相談からできるデータを使った取り組みには非常に興味が出ました。
また、今回の講演にはありませんでしたが、書籍にて「自己責任」という言葉の持つ感覚には、強く好感を持ちました。自己責任論には2つあって「懲罰的自己責任論」と「肯定的自己責任論」前者のイメージを持たれることが多いですが、私も著者(講師)が言うように、後者の自分のことを自分で責任をもって選択できる、またその選択肢の多い豊かな社会を目指していきたい。そのような笑顔の社会づくりを目指しています。
【おまけ】
大空さんにサインを頂きました。2冊の本を読んで、講演に臨みました。
見つけにくい課題のある子どもを抽出し、支援に結びつけるシステムの活用は全国で始まっている
予防的な見地、子どもを起点とした対策を始めませんか?
SNSを利用した相談体制の充実、今後導入するタブレット端末を活用することについても検討し、相談窓口の多様化を要望
今回の講義の資料に近いものを見つけたので、一部資料を借用しました。リンクを置いておきます。
https://sangiin-jimin.jp/?p=1913