枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
2024年6月4日は、「市民福祉委員協議会」を控室にて聴いておりました。
なお、「市民福祉常任委員委員会」の所管は、市民生活部、健康福祉部および市立ひらかた病院に属する事項となります。
今回の市民福祉委員協議会の協議案件は8件でした。
急速な高齢化の進展に伴い、認知症の人が増加している現状等に鑑み、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができる「共生社会」の実現を推進するため、基本理念等を定めた「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が令和6年1月に施行され、同法に基づく「認知症施策推進基本計画」が本年秋頃に閣議決定されると見込んでいる。同法において、地方公共団体は、その地域の状況に応じた認知症施策を“総合的かつ計画的に策定・実施する責務”を有し、「認知症施策推進計画」の策定に努めることとされており、本市においても計画の策定に向けた検討を進めている。
この度、認知症基本法の基本理念等を踏まえた総合的な取り組みの一環として、従前からの認知症予防施策の取り組み状況の報告と合わせ、認知症及び軽度の認知機能障害の予防、早期対応等を推進するため、地域包括支援センター、医療機関、民間団体等の連携協力体制の整備・充実に向けた新たな取り組みについて報告する。
本市では、運動不足の改善や生活習慣病の予防など「認知症予防」に効果的といわれる取り組みを、日々の生活の中で継続的に実践してもらうことを目的に、昨年度から生涯学習市民センターなどの身近な場所で、認知症のリハビリテーションを実施する専門職による連続講座「ひらかた脳活教室」を開始した。
このたび、「ひらかた脳活教室」における令和5年度の実績と、大阪府の「認知症予防発信事業」等を活用した当該教室のプログラムの効果について報告するとともに、今後の認知症予防に関する方向性について示す。
「ひらかた脳活教室」は、認知症についての正しい知識を学ぶとともに、認知症予防となる「栄養」「運動」「社会参加」「生活リズム」「脳の活性化」など、生活改善につながるプログラムを提供し、その学びを日常生活の習慣へとつなげていく取り組みであり、参加者自らが、生活習慣の改善や維持により、充実した毎日を実感できることで、自主的な取り組みの習慣化をめざすもので、実績は表のとおり。
大阪府から、「認知症予防発信事業」に基づく効果として、「当該教室の参加前後の血液検査の平均リスク値を比較すると、参加後の平均リスク値が低くなる改善傾向が示されている」と報告を受けました。あわせて、本市が独自で実施した「聞き取り形式」による「軽度認知障害スクリーニング検査」においても、血液検査で判定結果が「要注意」であった人は、軽度認知障害スクリーニング検査の点数も低かったという結果が得られ、参加後の平均リスクが低くなる改善傾向が示された。
以上から、「ひらかた脳活教室」は、認知症予防に効果があるプログラムであることが示された。
当該教室では認知機能低下の早期発見、及び認知症についての正しい知識の習得や、生活習慣の維持・改善につなげるためのプログラムを実施するとともに、必要に応じて適切な専門機関につなげるなどの取り組みを一体的に行っている。これらの一体的な取り組みの更なる推進を図るためには、より多くの人が認知機能の低下に気づくことができる新たな仕組みや、治療を担う医療関係機関との連携による充実した医療体制の構築が必要不可欠であり、早期発見・介護予防・医療体制を一体的にとらえた認知症施策の効果的な推進を図り、たとえ認知症になっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるような地域づくりを推進する。
認知症はその原因や症状特性などから、介護関係者だけでなく医療関係機関を含めた一体的な施策推進が重要となることから、「かかりつけ医」や「認知症サポート医」の窓口となる「枚方市医師会」及び、認知症関連の社会貢献活動を展開するとともに認知症治療薬の開発を手掛ける「エーザイ株式会社」との「三者連携協定」を締結し、認知症及び軽度認知機能障害に係る予防、早期対応等の取り組みや医療体制の整備等について連携することにより、認知症施策の効果的な推進を図る。
自分の脳の健康状態に関心を持つ機会を得ることにより生活習慣を見直すなどの行動変容の機会とすることや、認知機能の低下が疑われる方を把握し、市の介護予防事業への参加を促すなど、必要な方を適切に社会・医療資源につなぐことを目的として、デジタルツールを活用した「のう KNOW」による脳の健康度測定を実施する。
2つの実施手法でアプローチすることにより、より多くの方が健康度測定を実践する機会をつくる。
各委員の質疑・意見(要旨)
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テジタルツール「のうKNOW」について
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どのような集団測定を考えているのか?
⇐ 集団測定はラポールなど500名を検討している。医療者が必要なので、枚方市医師会、エーザイにも呼びかけたい。 -
なぜエーザイと組むことになったのか?
⇐ 他市でも実績があるなどで担当課からアプローチした。医療者も必要とのことで、枚方市医師会も含めて3者協定を進めていく
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どのような集団測定を考えているのか?
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補聴器購入費補助について
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補助額上限2.5万円は少なくないか?
⇐ 現在の補聴器の価格には幅があるため。 -
補助対象が65歳以上、市民税非課税世帯または生活保護世帯に限られているが?
⇐ 経済的に難しい方に補聴器購入費の後押しになると考えている。
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補助額上限2.5万円は少なくないか?
高齢化が進み、高齢者の単身世帯の増加が見込まれる中、身寄りのない高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、令和4年度から国において「持続可能な権利擁護支援モデル事業」が実施されており、令和6年度からは、新たに死後事務委任等の取り組みが追加された。
今般、十分な資力がないなど、民間事業者による支援を受けられない方に対し、本モデル事業を活用し、意思決定支援を確保しながら、入院・入所時の身元保証を代替する支援や、死後の事務支援を併せて提供する取り組みを実施する。
事業の対象者は、単身であることや親族等と疎遠であることなど頼れる身寄りがいないことや、十分な資力がなく民間事業者による死後事務等のサービスを受けることができないこと等、以下の要件を満たす方を対象とする。
身寄りのない単身の高齢者を対象とするため、実施するサービスは、「もしも」に備えた意向の事前確認や、平素からの見守り、安否確認、また、医療機関への入退院や施設への入所などの生前からの支援と、死後に必要となる官公庁への手続きや納骨などの支援をあわせて実施する。
この事業は、権利擁護成年後見センター(こうけんひらかた)や日常生活自立支援事業など、権利擁護の取り組みを実施している「枚方市社会福祉協議会」への委託により実施する。
今般、新たに実施する事業と、これまでの権利擁護の取り組みを、組み合わせて連動させることで、身寄りのない高齢者へのより一層の切れ目のない支援の充実を図り、安心して終末期を迎えられるよう取り組む。
令和6年(2024年)9月 | 9月定例月議会 補正予算計上予定 | |
10月 | 地域包括支援センター等の相談支援機関への事業説明 | |
11月 | 各種サービス提供 |
各委員の質疑・意見(要旨)
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「頼れる身寄りがない」どのような対象者を想定するのか?
⇐ 疎遠ではない場合でも、認知症や実質頼れる身寄りがないと判断できれば、対象としたい -
不動産についてどのように考えるのか?
⇐ 不動産は資産になるので、所有している方は対象外とした -
モデル事業の期間は?
⇐ 国では1年とされている。国による制度化の可能性も含めて考えなければならないが、この取り組みは継続的にすべきものと考えている
「終活」「人生会議」を誰もが話し合える環境づくりを!
お一人おひとりが自分自身の生き方を改めて考える機会に!
「終活」「人生会議」誰もが話し合える環境づくりを!
運動機能の低下は、日常生活の活動の低下に直結するため、本市では「ひらかた元気くらわんか体操」や「ノルディック・ウォーキング」など高齢者の運動機能の維持・向上に資するツールを活用した「介護予防事業」を推進してきた。
さらなる介護予防事業の充実をめざし、令和3年7月から令和4年1月にかけて、国の「地方公共団体による成果連動型民間委託契約方式(以下、「PFS」という)に係る案件形成支援事業」による支援を受け、PFSを活用した介護予防事業(以下、「SPRINGひらかた」という)の実施に向けた準備を行いました。令和4年6月には、事業者と業務委託契約を締結し、事業者から提案された企画の実施に向けた協議を重ね、順次イベントや教室等を開催してきた。
この度、令和5年度末に契約終期を迎え、当該事業の実績が確定したことから、成果について報告する。
「SPRINGひらかた」については、本市が実施している「介護予防事業」等に参加していない健康無関心層をターゲットとして、趣味性の高いプログラムで「社会参加」のきっかけを提供するとともに、既存活動団体等と連携し、参加者が地域の中で生きがいを持ち、役割を担えるよう育成することで、仲間と一緒に続けられる仕組みづくりを実施した。
「学びの場」の各テーマ型教室の内容に沿った活動を行う修了生グループが「9グループ」、また、修了生の興味関心事が広がりをもち、各テーマ以外の活動を行うグループ(部活動グループ)が「10グループ」組成され、あわせて「19の自主グループ」が継続して活動している。
このうち、「本でおしゃべり」、「ハンドケア」、「SPRINGひらかた珈琲倶楽部」の3つの「学びの場」のテーマに沿った修了生グループが活動拠点を決め、「高齢者居場所」として登録した。
趣味やスポーツに定期的に参加している高齢者は、その後の介護費用が低い傾向にあることが認められており、自主グループの活動を継続することで、さらなる抑制効果を見込むことができる。
各委員の質疑・意見(要旨)
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どういう課題があったのか?
⇐ 本市で初めてのPFS事業であったため、目標設定値をつくることが難しかった。また事業者と会話する中で、目標設定値との乖離についてコミュニケーションが難しかった。 -
今後は?
⇐ 自主グループが引き続き活動していく支援を行っていく
今日の市民福祉委員協議会では8案件。その中で特に健康施策について興味を持ちました。脳の健康度セルフチェックツール「のうKNOW®」のポピュレーションアプローチについては、エーザイのアルツハイマー 型認知症治療剤「アリセプト」の販売に結びつく分かりやすい施策とも見えますが、予防の観点がどのような個人と行政と健康保険とにどのようなメリットとして考えていくべきか、個人の問題とともに国の施策にも結びつけて考えてしまいます。予防だけでなく、認知症になっても暮らせる社会づくりも同時に考えねばなりません。
加えて、「死後事務委任」については、これまで私も要望してきたことに対してのミニマムスタートと認識しています。今後の展開に期待しています。枚方市民一人ひとりを笑顔するという思いを大切にしつつ、虫の目・鳥の目で物事を見ていきます。