[枚方市令和5年度決算]決算特別委員会が10月2日にスタート!決算概要をまとめました。

枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。

 枚方市議会では、10月2日より決算特別委員会がスタートします。令和5年度決算を分析のためデータをグラフ化して、私なりの考えをまとめてみました。

 

ここでは類似自治体との比較したいので、普通会計を使用していますので、広報ひらかたに掲載されている一般会計の数字とは異なります。

普通会計とは、地方公共団体における地方公営事業会計以外の会計で、一般会計のほか、特別会計のうち地方公営事業会計に係るもの以外のものの純計額です。個々の地方公共団体ごとに各会計の範囲が異なっているため、財政状況の統一的な掌握及び比較が困難であることから、地方公共団体の財政状況を比較するために地方財政統計上便宜的に用いられる会計区分です。枚方市では、一般会計、土地取得特別会計、老人保健特別会計のうち、重複分を控除し、目的分類の整理を行って普通会計を作成しています。

 
令和5年度普通会計決算の概況

 

実質収支は約23.5億円の黒字

歳入額:約1,708.3億円、歳出額:約1,679.3億円

普通会計決算 歳入・歳出推移

 

令和5年度は、歳入額:約1,708.3億円(71.3億円増)歳出額:約1,679.3億円(75.0億円増)。昨年度と比べ、大きく増加していますし、コロナ前の令和元年度をはるかに超える額になっています。ですが、収支はコントロールされているように見受けられます。

 

実質収支

 

実質収支 (約23.5億円) = 歳入額ー歳出額ー翌年度繰越額

着実に黒字が続いていることが分かります。これまでより若干減っています。

実質単年度収支 (約▲3.3億円)= 実質収支+地方債繰上返済額+財政調整基金積立額ー財政調整基金取崩額

実質単年度収支は、よりその自治体の実力に近い収支と言われています。これまで黒字で推移していましたが、赤字に転落しました。枚方市駅周辺再整備事業の進捗により基金の取り崩し額が大きくなったためです。

実質収支比率 (2.9%)=実質収支/標準財政規模(おおむね3~5%程度が望ましいといわれています)

昨年度とほぼ同じ出来上がりですが、若干減少しています。

 

積立金残高(財政調整基金)

 

積立金総額:約369.1億円(約0.3億円減

財政調整基金:約145億円(約10億円減):財政運営を平準化するための貯金

減債基金:約61億円(約2億円増):市債の償還に必要な財源を確保するための貯金

枚方市駅周辺再整備推進基金:約68億円(約2億円減):新庁舎事業基金

その他特定目的基金:約94億円(約5億円増):福祉基金など

 

令和5年度は、ここまで新型コロナウイルス感染症拡大関連での国の補助金などで財政調整基金が増加してきたものの、ここに来て都市計画道路の完成や子育て支援等で減少に転じました。その他基金は少しずつ増加しました。

枚方市においては、多くの基金があります。無駄遣いがないか、必要なときに使われているかという視点でも、チェックしていく必要があります。

 

地方債残高

 

地方債残高:約1,138億円(約9億円増

臨時財政対策債残高:約614億円(約39億円減

臨時財政対策債とは国から地方自治体に交付する地方交付税の原資が足りないため、不足分の一部を地方自治体が借り入れする地方債です。なお、臨時財政対策債の元利償還金相当額は、その全額を後年度の普通交付税によって措置することとされています。令和5年度では、国の歳入が堅調だったことから、大きく減っています。

その他地方債残高:約524億円(約48億円増

その他地方債残高では令和5年度は、枚方市駅前再開発関連(約284億円)、都市計画道路長尾杉線整備(約82億円)、都市計画道路御殿山小倉線整備(約68億円)、学校空調設備整備(約85億円)、学校トイレ改善(約125億円)などが起債されました。

 

 

経常収支比率の推移

 

経常収支比率 =(経常経費充当一般財源等)/(経常一般財源等 + 減収補てん債特例分 + 臨時財政対策)

経常収支比率が、高いということは、義務的経費以外に使える財源に余裕がないことを示し、財政構造の弾力性が低いことになります。

市の自主財源を確保する方法が限られるなかで、国の幼児教育・保育の無償化などの扶助費の増加などによって、率としては、じりじりと高くなっていっていることが分かります。令和3年度に極端に減ったのはコロナ関連で国が補助金を大盤振る舞いしたことによるものです。類似自治体と比べて、高いのは高齢化率の高さから来るものなのか。。。

 

経常収支比率とは:経常一般財源のうち義務的経費に充当される割合。

かつては、それが高いと財政運営が硬直的であるとされていた。現在では、投資的経費の財政需要が大きく縮小し、その反面で社会保障給付が増大しており、その結果、経常収支比率が上昇するのはむしろ当然であり、この値だけを持って財政が悪化した状態であるとはいえないと考えられている

 

<引用>地方自治体の財政診断の考え方と課題 関西学院大学 小西砂千夫|総務省

 

類似自治体と比べると?

 

令和5年度決算を類似自治体と比べると経常収支比率は依然として高いと言えます。この比率からも、財政の弾力性が乏しく、将来の投資に向けるお金が少ないことを物語っています。これは、義務的経費の比率が大きいことも一因で、それは扶助費の比率が高いからと読み取れます。昨年度からの扶助費の増大要因は、主に国の住民税非課税世帯への臨時特別給付金や生活保護費の増によるものです。(類似自治体でも令和5年度で増えるものと思われます。)

類似自治体:枚方市における類似自治体は「中核市」になります。

 

「長期財政の見通し(2024年2月発行)」との乖離も
数カ月でより悪化方向に進んだ。

類似自治体に比べ、公債費比率は少ないものの、短期で増加傾向にあることはしっかりと考えていかなければなりません。また、経常収支比率についても急速に結果的に100%に近づいている状況で危うい数字になりつつあります。

 
 
 
一人ひとりが笑顔、ひらかた万笑!

 

 今回は、監査委員として決算について、決算審査意見書をまとめた立場ですので、それ以上のことを言うことはできないのですが、結論は「数字は悪化している。しかし、まだ猶予はある。」という財政状況です。私としては、リスク・リターンを明確にし、メリハリを持って見極めていくことを求めていきたいと考えます。

 引き続き、一人ひとりの笑顔を実現するために何ができるか。考えようによっては、まだまだあるところにはあります。今年度は、監査委員も務めております。そこで得られる情報とこれまでの思いを合わせて、政策を練りながら、大きなうねりを作っていきたいです。