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[枚方市令和5年度水道・病院決算] 水道は大黒字決算が続く、市立ひらかた病院はコロナ後赤字決算!

枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。

 令和5年度決算を一般会計に引き続き、企業会計(上水道・下水道・市民病院)の主要なデータをグラフ化して、私なりの考えをまとめてみました。

 

 

 令和5年度 企業会計決算 
  1. 水道事業会計(上水道)
  2. 下水道事業会計(汚水・雨水)
  3. 病院事業会計

 

 

1.水道事業会計(上水道)

 水道事業の収益的収支では、純利益率が23%になるなど、収益率、構成比率、財務比率などの指標で、健全で安定した経営が維持された事業運営となっています。

 しかし、給水人口の減少や節水機器の普及などにより、総配水量は減少しています。また、中宮浄水場の更新事業が始まるなど老朽化した水道施設や管路の更新も必要となっていて、今後、事業環境は厳しさを帯びていくものとされています

 

新中宮浄水場イメージ

 

水道事業収益・費用

安定的な利益率を確保できた。

 水道事業収益水道事業費用のグラフです。安定的な利益が確保できています。一方で、管理耐震化率は微増となっています。

 

 

 

 

一日平均配水量

配水量は減少傾向が続いている。

 配水量は、年々に減っています。令和2年度はステイホームの影響からか増加しましたが、その後は減少傾向が続いています。

 

 

 

 

水道事業 費用の内訳

⑤街区を候補地としなかった理由は?

 原水及び浄水費配水及び給水費が、今年度は昨年度に比べて減少。動力費(電気料金)が政府補助金もあり、減ったことが主要因と思われます。減価償却費は、新浄水場の建設が始まったことが要因の1つです。

 

 

 

資本、負債比率

⑤街区を候補地としなかった理由は?

 水道事業は、投資資産の大きい事業ですから、貸借対照表も確認しておく必要があります。ここまでは資本比率が上がっており、また、負債比率は減少傾向と言えるかもしれません。長期債が償還を迎えており、流動比率が上がっています。結果的に金利負担が減る借り換えとなっています。

 

 


 

 

給水原価と管路耐震化率

⑤街区を候補地としなかった理由は?

 給水原価は、少しずつ上っている傾向にも見えます。新浄水場の建設による減価償却費、動力費(主に電気料金)の上昇傾向が主な要因です。

 管路の耐震化については、主要な管路(取水場から浄水場、浄水場から中継ポンプ場など)から実施しているとのことで、数字的には少しずつの上昇となっています。

 

 

 

 

2. 下水道事業会計

 令和5年度決算では、収益が増加したものの、費用についても、委託料や流域下水道維持管理費の増加により前年から増加したことなどから、純利益は減少しています。

 今後、老朽化対策を始め局地的豪雨や地震など自然災害に対応するための施設改善事業費の増加が計画されています。

下水道(汚水+雨水)

 

下水道事業収益・費用

 下水道事業収益下水道事業費用のグラフです。

 大きな変化がなく推移しているようにも見えますが、汚水事業と雨水事業とを分けて見てみる必要があります。

 

 

 

 

 

下水道(汚水)

 

下水道事業(汚水)収益・費用

 下水道事業(汚水)収益下水道事業(汚水)費用のグラフです。使用料が微増であり収益は微減となっています。

 

 

 

下水道事業(汚水)収益の内訳

 下水道使用料は横ばいから、微減が続いています。

 

 

下水道事業(汚水)費用の内訳

 費用の多くは、減価償却費であり、そこはほぼ一定、若干上昇傾向。令和5年度は流域下水道維持管理費が増加。1年遅れでの府からの請求となっていることから、動力費が主な増加要因と思われます。職員給与費は、比率的には非常に小さいですが微増。

 

 

 

下水道(雨水)

 雨水については、全てを一般会計からの繰り出しで賄われていますので、グラフは省きました。

 

 

3.病院事業会計

 令和5年度の収益的収支は、4年ぶりの当年度純損失を計上新型コロナの空床補償がなくなったことが主な要因ですが、令和5年3月に策定した経営強化プランをその計画期間の初年度で、収支計画から大きく乖離する結果となった。加えて、経営の要となる入院患者数も、看護師の大量退職に伴い、休床病床が発生しており、令和6年度当初からすでに影響が出始めています。

 

 

 

市立ひらかた病院

収入・支出

4年振りの赤字

 収益的収入収益的支出の棒グラフにしました。

 令和5年度は、4年振りの赤字決算となりました。コロナの補助金がなくなったことが、主要因です。

 

 

 

 

 

 

病院事業収益(補助金・一般会計からの繰入金)

コロナ関連の補助金が減少。赤字に。

 入院、外来収益が減少。明らかに減ったのはコロナ関連の補助金です。

 

 

病院事業費用(職員給与費)

人件費の増が費用増に直結する構造

 職員給与費がそもそも比率的に元々大きく、徐々に増えており、収益に与える影響も大きいです。

 

 

 

 

 

ばんしょうの視点

 水道事業、下水道事業とも、計画的に収支をコントロールして事業を行ってきたように見受けられます。しかし、配水量が減ってきており、またいわゆるインフラ更新(新浄水場、管路の耐震化、ポンプ場の耐震化など)の時期が迫ってきているため、今後の動向は人口規模に合った投資と市民ニーズに対して最大の成果が出る方向で進んでいるのかという視点で見てまいります。

 病院経営は、難しい状況を迎えています。どんな収支状況を求めるのか、市民が必要な機能は何なのか、市民の合意をもって新たな局面も考えていかねばなりません。

 

 

 

一人ひとりが笑顔、ひらかた万笑!

 

 単年度で見るべきものもありますが、事業は続いているものです。トレンドをグラフを確認しながら、あるべき方向を考えていきたいと思います。一人ひとりの笑顔目指して、事業が行われているか、慎重に目を凝らして見てまいります。

 今回は、監査委員であることからも、決算審査意見書に沿った解説を付けました。