枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
10月30~31日は、枚方市議会 総務常任委員会 先進都市研修で広島県広島市、呉市に行ってきました。今回は、呉市の防災会議室、対策本部についてまとめました。
呉市役所
広島県呉市では、平成27年に完成した新庁舎内に、災害時の対策・復興本部機能を備えた常設の防災会議室が設置されている。また、庁舎1階には、地震などの災害時に、自衛隊や警察・消防の方が防災拠点として広いスペースが必要になる事態を想定して設定されている市民ホール(可動式600席)があり、平成30年7月豪雨災害では、実際に防災会議室で災害対応に当たり、市民ホールは救援物資の受入れ先として活躍した。
また、平成30年豪雨災害の経験を基に、避難所運営におけるトイレや空調など、生活環境の改善について検討するとともに、避難者の不安解消やストレス低減にも取り組んでいる。
呉市は、山地と海に挟まれた複雑な地形をしています。この地形が、災害リスクを高めていると考えられます。
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急峻な斜面
呉市には、急傾斜地が多く存在します。特に、花崗岩が風化した「まさ土」と呼ばれる土壌は、雨が降ると崩れやすく、土砂災害を引き起こしやすい地質。 -
河川の形状
呉市を流れる河川は、急流で勾配が急なものが多く、短時間の豪雨で水かさが増しやすく、洪水が発生しやすい。 -
海岸線の形状
入り組んだ海岸線は、高潮や津波の被害を受けやすい地形となっている。
- 昭和20(1945)年9月17日〜枕崎台風 死者:1,154名
- 昭和42(1967)年7月9日〜集中豪雨 死者:88名
- 昭和46(1971)年7月15日〜集中豪雨 死者:14名
- 平成11(1999)年6月29日〜集中豪雨 死者:8名
- 平成13(2001)年3月24日〜芸予地震 死者:1名
- 平成22(2010)年7月14日〜集中豪雨 死者:1名
- 平成30(2018)年7月6日〜集中豪雨 死者:30名
庁舎の2階に設置された防災会議室は、呉市の防災拠点として災害時の対策・復興本部機能を備えている。呉市は、土砂災害の危険箇所を表す特別警戒区域は全国で広島県が一番多いことから、防災会議室を整備すると共に、呉市内に流れる3本の河川には推移変動を監視するカメラを新たに設置された。
防災会議室の中心には、98v型4K液晶ディスプレイ1台と両サイドに65v型液晶ディスプレイ2台が設置され、災害時には監視カメラの映像や「Web会議システム」により、関係部署を結び状況の確認やTV映像などを表示し、素早い判断、関係各所への指示が出される。
平成30(2018)年7月5〜8日にかけて、呉市を襲った豪雨は、市内各地に甚大な被害をもたらした。記録的な短時間強雨により、土砂災害や河川の氾濫が発生し、多くの尊い命が失われ、住宅やインフラにも深刻な影響が出た。
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短時間強雨による急激な水位上昇
河川が氾濫し、浸水範囲が広範囲に及んだ -
土砂災害の多発
斜面が崩壊し、住宅や道路を埋めた -
インフラの損壊
道路や橋梁が寸断され、孤立状態となる地域も発生した
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人的被害
死者:30名
負傷者:22名 -
物的被害
建物被害:3,230件(内、住家の全壊:182件)
土地被害:多数
インフラの損壊:道路、橋梁、河川など -
特に大きな被害を受けた地域:
安浦地区:中畑川、野呂川の氾濫により広範囲が浸水。建物被害が最も多かった。
天応地区:土石流、崖崩れなどにより多くの建物が倒壊
どこに避難すればよいか分かりにくい、避難所が遠いなどの課題が考えられたため、区分の見直しと新たに25避難所を指定した。
また、職員防災情報メールにより、開設対象の避難所や時間を予告する。
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第1開設避難所
- 大規模な災害発生時に、最初に開設される避難所
- 市職員による開設
- 多くの避難者を収容し、食料や水などの基本的な生活物資を提供します
- まちづくりセンター、小中学校などの公共施設が利用されます。
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第2開設避難所
- 第1開設避難所だけでは収容しきれない場合に開設される避難所です。
- 第1開設避難所を補完し、避難者を分散させることで、避難所内の混雑を緩和します。
- 高等学校、大学など
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地域開設避難所
- 地域住民が主体となり、自主的に開設する一時的な避難所です。
- 自宅から近い場所での避難を可能にし、地域住民同士の助け合いを促進します。
- 自治会館、集会所など
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福祉避難所
- 特別な配慮が必要な人々のための避難所
- 医療や介護サービスを提供し、安全で快適な避難生活を支援
- 老人福祉施設、障害者支援施設など
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女性視点の対応
- 避難所運営会議の構成員 ⇒ 女性3割以上
- 女性専用スペースの確保 ⇒ 更衣室,トイレ、授乳場所等
- 女性用品の女性スタッフによる配布
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トイレ
- 仮設トイレの増(100人/基 ⇒ 50人/基)
- 男女別の割合 ⇒ 男:女=1:3
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設備
- 空調設備の改修
- トイレの洋式化
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備蓄物資
- 投光器、発電機、エアマット等の整備
NHKデータ放送や防災情報メール配信サービス、緊急速報メール、防災行政無線などの活用に加え、新たな情報伝達方法(FAX一斉送信、一斉電話伝達、ハザードマップの配布、ハザードマップの多言語化)を導入
いつ来るとも限らない災害対応の拠点が常設されている呉市役所。普段使いができるようにも考えられており、現実的なのものになっていました。職員さんからは、もう少し大きな会議室を要望する声も。今後の枚方市役所庁舎でも必要なものとして検討が必要です。今もこれからも一人ひとりを笑顔にする災害対応ができるよう今後もしっかりと意見提言できるよう情報収集していきたいと思います。
また、地域防災力の向上を目指した「呉市防災リーダー」の取り組みにも興味を持ちました。さらに、呉市は離島の対応も必要であり、海上保安庁、海上自衛隊との連携や物資の分散備蓄も実施されているとのことでした。
呉市防災リーダーは、地域における防災活動の核となる存在で、災害発生時に、地域住民の避難誘導や初期対応など、重要な役割を担います。
呉市防災リーダーの役割
- 地域住民への啓発: 防災に関する知識や情報を地域住民に伝え、防災意識を高める
- 防災訓練の実施: 地域住民と協力して、防災訓練を実施し、災害発生時の行動を習得する
- 避難誘導: 災害発生時には、地域住民を安全な場所に避難誘導する
- 初期消火: 火災が発生した場合には、初期消火活動を行う
- 避難所の運営: 避難所が設置された際には、運営に協力する
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653名
呉市が実施する防災リーダー養成講習を修了、広島県が実施した「ひろしま防災リーダー養成講座」を修了、または防災士となることで、呉市防災リーダーの認定を受けることができる
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平成27年の市役所建替え時に建設された新しい議場。議決の賛否は手元のボタンで行われる。
傍聴席の一部には簡易テーブルも設置されている
議会図書館と市政資料室がガラス張り。司書のオススメ本コーナーもあるなど明るい印象。
「新日本造機ホール(呉市民ホール)」の劇場形式の座席数は、581席(車椅子席3席を含む)。平成30年豪雨災害の際は物資の集積場となった。