施設、設備の更新は、デジタル技術の活用で効率的効果的に?〜2/14枚方市議会建設環境委員協議会

枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。

 2025年2月14日、枚方市議会令和7年3月定例月議会を前に「建設環境委員協議会」が開催されました。

 冒頭、副市長からは、八潮市で起こった下水管の陥没事故を受け、緊急点検を行ったこと、また国土交通省より1月29日付で緊急点検についての事務連絡が発出されたが、枚方市内には点検対象となる巨大な管路がなかったとのこと。今後もストックマネジメント計画に基づき、点検・調査などを実施し、事故の予防保全に努めていくと挨拶がありました。

 


枚方市内の下水道管路(緊急点検箇所)

 

 

 今回の建設環境委員協議会の協議案件は9件でした。

 

 建設環境委員協議会 案件 
  1. ひらかたゼロカーボン推進事業(効率的なエネルギー調達と再生可能エネルギー導入)の事業者選定について
  2. 第2次枚方市空家等対策計画の改定について
  3. 村野駅西土地区画整理事業及び茄子作土地区画整理事業について
  4. 枚方市学校整備計画(第2期実施計画)について
  5. 枚方市立小中学校教室等空調設備更新DBO事業の事業者の選定について
  6. 枚方市立総合福祉会館ESCO事業の最優秀提案者の選定について
  7. 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律及び建築基準法の一部改正に伴う手数料の新設等について
  8. 枚方市総合交通計画の改定に向けた取り組みについて
  9. 人工衛星とAI解析を活用した水道管路の漏水検知について

 

 

 

 

1.ひらかたゼロカーボン推進事業(効率的なエネルギー調達と再生可能エネルギー導入)の事業者選定について

 本市では、市有施設における再エネの導入拡大等による脱炭素化に向けて、各施設の電力購入契約を一本化していき、効率的にエネルギー調達を行うとともに、それに伴う経済的なスケールメリットを活かしながら、再エネの導入、省エネの促進などの取り組みを一体的に実施していくため、公募型プロポーザル方式による事業者選定を進めてきました。

 この度、本市の附属機関であり、有識者で構成される「枚方市公共施設への電力供給等業務事業者選定審査会」(以下、「選定審査会」という。)より、最優秀提案者の答申を受けたことから、選定の結果等について報告するものです。

 

 

ひらかたゼロカーボン推進事業(効率的なエネルギー調達と再生可能エネルギー導入)
事業の概要及び事業期間

 

最優秀提案者の選定

 最優秀提案者:HIRAKATA2050ネットゼロコンソーシアム(代表企業:関西電力㈱)

 

 

今後のスケジュール
令和7(2025)年2月   コンソーシアムと基本協定を締結
電力供給事業者及びPPA事業者と電気需給契約を締結
市有施設照明設備改良事業者と工事請負仮契約を締結
3月   定例月議会において市有施設照明設備改良事業に係る工事請負契約案件を提出
4月  

一括契約した電力の供給開始

令和7(2025)年度〜9(2027)年度  

市有施設照明設備改良設計・工事

令和8(2026)年度〜9(2027)年度  

太陽光発電設備設置工事

 

 

事業費・財源及びコスト

  • 《事業費》令和6〜9年度(債務負担設定)
    • 市有施設照明設備改良事業に係る工事費:507,823千円
      • 令和6年度:0千円
        令和7年度:190,223千円
        令和8年度:157,200千円
        令和9年度:160,400千円
  • 《財源》 
    • 一般財源:50,923千円
      市債(脱炭素化推進事業債等) :456,900千円 

 

 

各委員の主な質疑(要旨)

  • 電力一括契約のスケールメリット、効果は?
    ⇐ 再エネ100%となること、現契約と比べ、5%電力料金が削減できる。また、LED照明では予定の15年償却が縮まることが見込める
  • 市内事業者の活用は?
    ⇐ 評価時に加点する方策を取った

 

 

関連する情報

 

2024年8月29日 建設環境委員協議会

 

 

5.枚方市立小中学校教室等空調設備更新DBO事業の事業者の選定について

 小中学校における教室等の空調設備については、平成20年度にPFI事業により一斉に設置した空調機器等の更新が必要となってきたことに加えて、脱炭素化の推進に民間のノウハウを活用するため、事業手法をDBO方式とした総合評価一般競争入札により事業者の選定を進めてきた

 この度、本市の附属機関であり、有識者で構成される「枚方市立小中学校教室等空調設備更新DBO事業者選定審査会」(以下、「選定審査会」という。)より、落札候補者の答申を受けたことから、選定の結果等について報告する。

 

 

枚方市立小中学校教室等空調設備更新DBO事業

 

事業の概要及び事業期間
  1. 事業期間:令和7(2025)年度から令和25(2043)年度まで(設計、施工、維持管理(15年間))
  2. 対象室数:約1,800室
  3. 空調方式:パッケージエアコン天井吊型等(電気式)
  4. 事業手法:DBO方式※
    ※DBO(Design-Build-Operate)方式:公共団体等が資金調達し、民間事業者に設計・建設・運営を一体的に委託して実施する方式
  5. 契約方式:総合評価一般競争入札

 

選定審査会での主な意見

事業実施にあたり、応募者が掲げた4つの基本方針に基づき、

  1. 信頼性の確保においては、24時間365日対応の定期保守を実施することによるリスクへの対応や工事遅延リスクの低減の提案、資材の購入を原則市内に事業所を置く企業から行う点などを評価
  2. 効率的な運営においては、市、学校関係者等に対する一元窓口とし情報の行き違いや抜け漏れをなくす提案
  3. 顧客志向の徹底については、台風等の過去の被害例を踏まえた防風板の設置、人感センサー等で人の活動量を検知し運転制御、温度、湿度、CO2濃度の常時計測による外気量の適正な管理、24時間365日稼働する遠隔監視システムにより、故障の早期発見や効率的な運用の提案等について高く評価した
  4. 協力体制の強化においては、事業終了後1年間の問合せ窓口を設置する提案

などを総合的に評価し、これらの提案について適正と判断した。

 

 

落札候補者

 落札候補者:枚方三究共同事業体(代表企業:株式会社三機サービス)

 

 

今後のスケジュール
令和7(2025)年3月   定例月議会へ事業請負契約(議案提出)
令和7年(2025年)3月
〜令和10年(2028年)
3月
  設計・施工 (段階的に設置 ※)
令和25年(2043年)3月  

維持管理、計測(終了)

※空調設備は本市への引き渡し後、順次維持管理・計測を開始

 

事業費・財源及びコスト

  • 《事業費》整備費(設計・施工)、維持管理費 約92.0億円(15年間合計額)
    • 令和7年度
    • 《事業費》約14.7億円
      《財源》 
      • 国庫補助金(学校施設環境改善交付金):約2.1億円
        地方債:約10.8億円
        一般財源:約1.8億円 

 

 

各委員の主な質疑(要旨)

  • DBO方式のメリットは?
    ⇐ 令和3年度に比較検討を行ったが、事業費、負担額ともに低いと判断した
  • 運営期間が18年間と長いが、物価変動への対応は?
    ⇐ 契約でインフレスライド条項を定めた。著しい物価変動の際は協議することになる
  • 市内事業者の活用は?
    ⇐ この契約は市内事業者ではない

 

関連する情報

 

2024年2月16日 建設環境委員協議会

 

 

 

 

9.人工衛星とAI解析を活用した水道管路の漏水検知について

 本市が所有する水道管路の延長は1,100kmを超え、法定耐用年数である40年を超過した管路の割合を示す管路経年化率は約29%となっている。そのため本市では、老朽化した水道管路等の更新・耐震化を進めるとともに、国道1号や軌道下に埋設している水道管に漏水調査機器を設置するなど、老朽化に対応するための維持保全の取り組みも進めている。しかしながら、ひとたび水道管の漏水が発生した場合、その水道管の大きさなどによっては断水や道路の通行止めが発生するなど、市民生活に影響が出ている状況。

 このような中、国においては、デジタル技術を活用し、メンテナンスの効率を向上させる「上下水道DX」の推進が重要とされており、近年、人工衛星データを用いて水道管路の漏水を検知する取り組みが全国的にも広がりを見せている。本市においてもこの技術によって、膨大なストックに対して効率的な漏水調査が可能となることから、実施に向けた取り組み内容等について報告する。

 

枚方市立小中学校教室等空調設備更新DBO事業

 

衛星画像解析を用いた漏水検知業務

 人工衛星からLバンド※レーダーを照射し、その反射特性から水道水と非水道水を区別し、その画像と既存管路データをAI解析することにより、直径200mの範囲で漏水の可能性があるエリアを抽出します。これにより、別業務で実施する音聴調査等の対象範囲を絞り込むことで業務が効率化され、漏水箇所の早期発見に寄与できるものと考える。

※マイクロ波の周波数帯域の分類の一つ。気象衛星で使われるXバンドなどに比べ透過性が高く、地下2.5~3m程度までの調査が可能

 

 

他の自治体との共同発注

 人工衛星が取得する画像データは、1画像当たりの範囲が3,500km2または1,600km2(参考:大阪府面積約1,905km2)と広大であるため、複数の市が共同発注することで人工衛星の運用回数が減り、結果、スケールメリットによる事業費の低減を図ることができる。そのため、他の自治体と共同発注に向けた協議を進めている

 

 

今後のスケジュール
令和7年(2025年) 2月   共同発注に向けた基本協定の締結
新しい地方経済・生活環境創生交付金の交付申請(旧デジタル田園都市国家構想交付金)
(共同発注の代表市が申請予定)
4月   共同発注の協定締結
6月  

事業者選定、契約締結等

7月~10月  

衛星を活用した漏水調査実施

12月  

業務完了・実績報告書、実績調書

※空調設備は本市への引き渡し後、順次維持管理・計測を開始

 

事業費・財源及びコスト

  • 《事業費》
    • 衛星画像解析を用いた漏水検知業務委託 : 16,775千円
      衛星画像解析を用いた漏水検知業務委託に係る負担金 : 400千円
      (共同発注の代表市へ支払う事務費)
  • 《財源》 
    • 新しい地方経済・生活環境創生交付金(国) : 8,387千円
      大阪府スマートシティ戦略推進補助金(府) : 4,193千円
      一般財源 : 4,595千円 

 

 

各委員の主な質疑(要旨)

  • 管路経年化率は約29%は他市と比較してどうなのか?
    ⇐ 全国では24%、大阪府下36%となっている
  • 今回のもののデメリットはないのか?
    ⇐ 的中率が3割から5割と聞いている。とはいえ、漏水調査の的を絞りこむには十分活用できる

 

 

 

一人ひとりが笑顔、ひらかた万笑!

 

 

 

 今回の建設環境委員協議会は、来年度に向けた取り組みの報告がありました。市内施設は建物そのものの老朽化、また空調等設備の更新が求められ、維持だけでも大きなお金が必要です。デジタル技術の活用も行いつつ、効率的効果的に、そして健康・スポーツまちづくりで枚方市民一人ひとりを笑顔するという思いで今後も注視してまいります。